いろいろスルーして観れば


割と単純明快な映画なんですけどね。没頭して観ていると「あれ?」という疑問の山になるのは確かだと思います。

そもそも「君の名は。」のお話の大前提となる入れ替わりがなぜ発生しているのかについては、わからんですよね。もしかしたら新海監督がどこぞのインタビューかなんかで回答しているかも知れませんが、劇中観ている限りでは何の説明もなく唐突に入れ替わりが発生すると。なので、説明がない以上考えても仕方ないので「こういうものなんだ」と納得するしかないでしょうね。

「君の名は。」が難解だと思われるのは、時系列が短い時間の中で前後しているからなんですよね。

実際に入れ替わりが発生したのは瀧も三葉も高校3年生の時のことなんですが、三葉は瀧が中学3年生の時に彗星の落下でお亡くなりになっているわけです。だから本来なら実年齢が3歳違うんですよね。で、その事実を知るのが瀧が高校3年になってからの話なので、入れ替わりが発生しているところから急に「会いたい」となったときに物語の時系列がわかりにくくなるわけです。

お互い電話がつながらないのはこの時系列のズレのせいだと考えられるわけです。

まぁ、時系列をこう解説しても本来死んでいるはずの人間とどうして入れ替わるんだ、とか疑問は残るんですけどね。その他、不自然な点を挙げていけば、記事にもある通り途中まで名前を覚えているのに、急に忘れちゃうんですよね。これは物語の随所に現れるんですが、その辺の解説も劇中では特にされていないので「そういうものだ」と考えるしかないようです。で、名前を忘れるくせに顔は覚えているというまた摩訶不思議なことが物語の軸になっているんですが、これも「そういうものだ」と考えるしかないでしょう。

で、こういう不自然な点が山ほどある作品なのに、なぜか大ヒットしたわけです。なにゆえ大ヒットしたかはワタクシにも分かりません。個人的には新海監督作品の一番とは思っていないので、前作の「言の葉の庭」とか問題作「秒速5センチメートル」の方がしっくりくるんですよ。矛盾もないし、時系列通りに話が進行するので。SF要素ゼロですからね。

ただ、新海監督自身はSFをやってこなかった人じゃなくって、「ほしのこえ」とか「雲の向こう、約束の場所」なんかでやってるので、不得手なわけじゃないはずなんですよね。

「君の名は。」に関して言えば、尺の問題と敢えて解説を入れないことで得られるスピード感を重視したのではないかと思うんです。だから、いちいち「ここが矛盾してる」とか「ここがわからん」とか考えずに「こういう映画なんだ」と思って観れば案外楽しめるはずです。

地上波初放送で17.3%も視聴率稼いでいるので、これはこれでやっぱり反響は大きかったんだと思いますね。ヘタな2時間ドラマよりよっぽど面白かった、と言えるんじゃないでしょうか。

by peugeot206ccs16 | 2018-01-05 02:26 | 感じたこと。 | Trackback | Comments(0)